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「ありがとう」と
「おかげさま」

“ありがとう” 普段なにげなく使っている、お礼の言葉。
これも語源は「有難し」という仏教語である。
出典は『法句経(ほっくきょう)』の、「ひとの生をうくるはかたく、死すべきものの、生命あるもありがたし」である、 と言われている。 

人が生きていくのは苦しみであるし、いずれ死すべきものであるが、その中で縁あって生命があることはなかなかない素晴らしいことであるという生まれた生命の驚きを教える教説である。
だから「有り難し」とは、その仏説を聞き、人の生命の尊貴(そんき)さへ目覚めた、大いなる感動を表す言葉でもある。
それがいつしか感謝の意に、転用されるようになったのである。先人のこのような宗教的心情を想う時、日本語の中でも、特にすぐれた美しい言葉であると思う。

「ありがとう」なんとステキな響きのある言葉でしょう。
大切にしたい人の存在や、家族がしてくれたことに感謝することから始める。
つまり、感謝の気持ちをバネに何かを始めればいいのです。ありがとうの気持ちが具わっていれば、自然とやりたいことをやれる幸せを感じられます。人にやさしく接することができ、人生を大切に生きることができます。

私たちは家庭にあっても職場にあっても、人と人との支え合いによって生きているのです。
今日一日無事に働くことができました。
おいしく食事をいただくことができました。
あたたかい布団の中でぐっすり寝ることができました。
これらのことは、決して自分ひとりの力で成り立っているのではありません。
そして神仏のご加護や大自然などの大きな存在の「おかげ」をいただき、畏敬なる存在に包まれているのです。

私たちは「生きている」と同時に、「生かされている」のだということがわかると、自然に対して、また人や物に対してやさしさが生まれてくるはずです。そのやさしい心を表す言葉、それが「ありがとう」であり「おかげさま」です。

私たちは、多くの人たちの支えと、自然の恵みによって生かされています。豊かな現代社会に暮らしていると、当たり前の有り難さをついつい忘れがちですが、この世はまさに持ちつ持たれつの「おかげさま」の世界です。